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創立10周年、そして次の30年へ
2016.3.13
未来ビジョンで他流試合/9社30人超が参加。「シグナルカード」で「未来」を探る。
「CROSS Business Producers」が開発した企業戦略開発プロセス「未来ビジョン」を体験するための「他流試合セッション」が2016年3月10日、都内虎の門の発明会館ホールで開かれました。
セッションには、カルビー、KDDI、KDDI研究所、SUMCO、JTB、パナソニック、富士通、三井住友海上、河北新報社の9社から30人を超える参加があり、「未来ビジョン」の基礎的な概念や手法を理解しながら、2045年を目標としたビジョンづくりを体感しました。
「未来ビジョン」のプロセスは「シグナル」「フォーキャスト」「アクション」の3つに分かれます。
ニュースや統計データの収集・分析を通じて「今、何が起きているか」を把握するのが「シグナル」。
「シグナル」分析を必要に応じて何度も繰り返しながら「シグナル」の精度を高め、そこから読み取れる未来の社会の形を浮き彫りにし、予測するプロセスが「フォーキャスト」です。
「フォーキャスト」で浮き彫りになる予測の精度を高めながら「未来ビジョン」の作成に必要な考え方や段取りを具体的に練り上げるのが「アクション」のプロセスです。
「未来ビジョン」のプロセスのうち第一段階の「シグナル」を体験するのがこの日の狙いで、冒頭、参加者自身が事前に作成した「シグナルカード」について説明し合いました。
持ち寄ったシグナルカードの内容をテーブルの全員で共有したうえで、カテゴリーと時間の二つの軸で並べながら、議論の全体像を少しずつまとめていきました。
その作業を通じて、参加者はどんな「未来」を想定したいのか、未来を支えるための事業やマーケットの姿、技術やサービスの可能性など、「未来ビジョン」づくりの前提となるポイントが徐々に明確になっていきました。
最後に「シグナルカード」の分析や整理の経過についてテーブルごとに発表しました。
参加者にとって「未来ビジョン」の最も特徴的なのは、「シグナルカード」を事前に準備することが宿題になる点です。
参加者が日常の業務の傍ら作成する「シグナルカード」には当然のことながら「偏り」や過不足が考えられます。
「シグナルカード」は「未来ビジョン」に向かう議論や思考プロセスの基礎になる重要なものです。
第一段階の「シグナル」から「フォーキャスト」「アクション」と段階を踏むためには、「シグナルカード」の収集と分析・整理を、より充実させる必要があります。
「未来ビジョン」の基礎を少しでも高いレベルに引き上げるため、CROSSは外部のリサーチャーにも依頼して広範な分野をカバーし得る膨大な量の「シグナルカード」を常時、整備しています。
この日の「他流試合」でも、参加者が事前に準備した「シグナルカード」に加え、セッションの顔ぶれやテーマに合わせて、あらかじめ抽出したCROSSの「シグナルカード」を参照しながら議論を進めていました。
「CROSS Business Producers」代表取締役の三木言葉さんは「未来ビジョンはあくまで事業創造を目標としています。
事業の内容や規模にもよりますが、事業企画や方向性を本格的に決めるには、最低でも2日ぐらい必要です。
ただ、今回は、いろいろな業種の方々が話し合い、情報を共有し、みんなで目標に向かう楽しさを感じてもらえたのではないでしょうか。
なぜ、わたしたちは仕事をしているのでしょう。
自分たちが見たい未来はどういう未来なのか、自分が仕事に取り組むことが人々の幸せにどうつながっていくのかを共有できればうれしい」と話しています。
▽ ▽
「未来ビジョン」づくりの現場を取材したのは2015年2月に続いて今回が2回目です。
今回は「アドバイザー」の役割をいただいて、準備段階の議論にも一部参加しました。
自分を育ててくれた新聞業界、特に地方新聞社はデジタル化への対応に苦戦しています。
その苦戦ぶりを長い間、肌で感じながら、ピンチをチャンスに変える方法がないものかと模索してきました。
「新聞」と「デジタル」の距離は離れていると思われがちですが、そう思わせる要因の多くは技術で克服可能です。
致命的なのは、企業の戦略や事業開発を担う人たち自身の心の奥に巣食う「距離」といっていいでしょう。
新聞社のさまざまな業務分野を担う人たち自身が主役となる以外に、この困難を乗り切る道はありません。
「CROSS Business Producers」が米国生まれの「未来ビジョン」の日本化に挑戦しているのを知ったのは3年ほど前でしょうか。
以来、強い関心を抱いて現在に至っています。
「未来ビジョン」を支える理念や手法に引かれるのは、苦難に向き合っている組織や団体のメンバーが自ら「未来」をつかみとるプロセスに見えるからです。
問題設定から解決に向かうための方向性の検討、新たな目標づくりまで、外部のシンクタンク等に丸投げするのではなく、当事者自らが汗をかきながらつかみとる想定は、一見、困難な道に見えるかもしれませんが、特に地方新聞社が地域と向き合いながら、独創的で多様な戦略を開発する環境につながるものと確信しています。
写真はいずれも「未来ビジョン 他流試合セッション」の会場
アドバイザー 佐藤和文(メディアプロジェクト仙台)