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2014.9.1

All, People

全球化時代を生きる その3 -スイスCauxセッションを通じて得たモノ-

今回のブログを担当させていただく大浦です。

 

今回は今まで2度記事にさせていただいたGTLプログラムの第3回で学んだことについて書いています。

 

 

【未知なる環境に飛び込む】

 

今までのセッションと違い、今回のセッションの舞台はスイスにあるCaux(コー)というモントルーから山を登った場所で行われました。

 

 

CauxにあるCaux Conference Centerという場所で、今回はGTLだけでなく他の様々な国の人たちと触れ合い、様々な体験をしてきました。

 

CauxはもともとPalace Hotelという豪華ホテルとして作られ、1946年以降は様々な会議が開かれる国際的な交流の場として利用されています。

 

運営は全てボランティアによって行われており、ホテルマネジメントを学ぶ学生のインターンや仕事を引退された方のボランティアなど様々な人たちの助け合いによって成り立っています。

 

毎夏になると、あるテーマにのっとって一週間程度のセッションが行われ、セッションごとに世界中から数百人の人たちが集まります。

 

今回は参加したセッション「initiative of change」はよりよい世界にするためにまず自分を変えていこう、という趣旨であり、自分の内省を促し、よりオープンマインドでポジティブでアクティブな人間になろうとするものです。

 

そこでは老若男女、年齢、性別、人種、国籍、職業などは何も関係のない環境で、参加者全員が同じようにセッションに参加します。

 

相手を受け入れ、相手をまた自分の鏡として見ることで、自分を見つめなおすことが出来るのです。

 

 

 

【自己哲学を獲得する】

 

人種も年齢も文化も言語も違う人たちとコミュニケーションを上手く取るには自分がどういう人間なのか、ということをまずよく理解しなければなりません。

 

そしてまた自分がどんな人間かを理解しなければ、自分がどうなりたいのか、どうすべきかということも見えません。

 

このセッションでは徹底的に相手と、そして自分と向き合うことで自分の意識と行動に変化をお越し、それを繋げていくことで世界を変えようとしています。

 

今回のセッションでは例えば目を閉じて俯瞰的に自分を眺めていく中で、自分という人間がはたしてどんな人間になりたいのだろうということを考える。

 

また自分の記憶の中で何が強い印象に残っており、それがどう影響をおよぼしているのだろうということを他人と共有する。

 

それか相手と見つめあい特定のイメージを相手に投影することで自分の中で何を感じ取れるのかを考えてみる。

 

こうした普段の生活では中々忙しくて忘れ去ってしまっている「自分と向き合う」ということを徹底的に行いました。

 

自分自身、日々の仕事の中で、目の前のタスクに向き合っている時では中々考えることが出来なかった自分自身が何をしたいのか、どうなりたいのかという部分を社会や仕事などの環境に捉われることなく向き合うことが出来ました。

 

 

【相手を知ることで自分を知れる】

 

グローバルで活躍するためにはもちろん自分だけでなく、相手をよく知る必要があります。

 

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」と中国の兵法家の孫子も言うように、相手と自分、それぞれを知らなければ多くの問題には対処できません。

 

今回のような様々な人たちが来る場では基礎知識として世界にはどういった思考様式があるのかというのをある程度知っておかなければなりません。

 

東洋と西洋の思想、発想の違いを考えると分かりやすいでしょう。

 

資本主義がキリスト教、プロテスタンティズムから生まれたといい言説はウェーバーの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」などに詳しく書かれていますが、聖書の中の物語でも投資が奨励されている話があったりします。

 

根本として資本主義は西洋思想に根付いており、東洋の価値観をそのまま当てはめてもどうしても違和感が生じるということは考えなければいけませんし、日本で個人投資家などが少ない理由もこうしたところにあるかもしれません。

 

また東洋(この場合は日本)と西洋では庭園の作り方が大きく違い、龍安寺の石庭などを見ると、新たな自然をその場所に「創り」出しています。

 

出所:http://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%BE%8D%E5%AE%89%E5%AF%BA

 

一方で西洋の庭というのはサンスーシ宮殿などは、巨大な自然を人工的な幾何学模様へと「作り」変えているといえます。

 

 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B5%E3%83%B3%E3%82%B9%E3%83%BC%E3%82%B7%E5%AE%AE%E6%AE%BF

 

他にも和食は引き算、フランス料理は足し算ともよく言われたりします。

 

勿論これは一概に東洋、西洋で括り、カテゴライズしようという話ではなく、そうした文化を背景に持っているということを考え、自分の常識とは違う常識で動いているのだと理解する一助にしなければなりません。

 

今回のセッションでは多くの人と出会いましたが、参加している人にはソマリア移民のヨーロッパ諸国の人が多くいて、その中にはアフリカの様々な土地を転々としたあとヨーロッパを転々とし、やっと今スウェーデンで落ち着いているんだ、という人もいました。

職業の都合で海外転勤というわけではなく、職を探してあらゆる土地を渡り歩くというのは中々日本で生まれ育つと馴染みのない環境ですが、所変わればそれが日常という人たちも大勢いるということに気付けたのは非常に大きなポイントでした。

 

海外にある程度馴染みがあるといってもまだまだ知らない常識というのは星の数ほどあり、またそれらを知る必要はなくても自身の常識があくまで普段いる環境のものでしかないということに改めて気づかされました。

 

 

【意識と行動を変える】

 

自分を知り、相手を知ることで、今の自分に何が出来るか、何が出来ないか、これからの自分に何が出来るか、何をすべきかということがしっかり考えられるようになるはずです。

 

それらを常に考え捉えようとすることで、どのように学び、どのように成長していくのかを意識し、行動に移すことが出来るようになります。

 

意識を変えることで行動を変え、行動を変えることで人に影響を与え、そしてその意識の変化は世界を変化せしめるものになるのです。

 

まず自分の意識と行動に変化を起こし、そして社会に変革を起こせるようになろうとしていくことが大事なのです。

 

是非、新しい環境に身を置いて、他者を理解し、自分を理解しようと試みてください。