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イノベーション創造プロセスを確立する方法 -ドイツ・Hype社編-
ドイツはボンにあるイノベーションを促進するイノベーションマネジメントツールを提供しているHYPE社を訪問してきました。
弊社スタッフ2名とHYPEのスタッフ、HYPEのパートナー@ケルン大聖堂
「HYPE社ってどんな会社?」
HYPE社はドイツ・ボンに本社を置く2001年に現CTOのDr.Enno氏を中心に創業された会社です。もともとダイムラークライスラー社の研究部門で働いていたDr. Enno氏がHYPEツールの前身となるソフトウェアを開発したのですが、大企業では中々イノベーションを起こせない、起こしやすい環境が整っていないということで他の2人の仲間とともにHYPEを創業されました。
CROSSもイノベーションを促進することを目標としているので、非常に共感する部分も多く、お互いに情報とノウハウを共有して、どんどんイノベーションが起きる世の中にしていこうとしています。
「イノベーションマネジメントツールって何が出来るの?」
さて、イノベーションマネジメントツールという言葉を聞いても中々ピンとこない方も多いと思います。
イノベーションマネジメントツールとは新規事業を創造する際のプロセスを管理し、自由化することで、俗人的だったイノベーションを組織として継続的に実践できるように促進するプラットフォームになります。
このツールの特徴は大きく2つあります。
1つ目は多くの人間がインタラクティブにアイデアを事業案にするということです。
具体的には管理者がたとえばオリンピックを想定した新規事業とかインドに市場を開拓するための新規事業といったテーマを設定し、そこに参加者がどういった解決策があるのかアイデアを投稿します。
そのアイデアに対して他の参加者がどれだけ閲覧している、コメントしているといった指標を用いてそのアイデアを次のステップへと進めていきます。
ここで大事なのはコメントを通してそのアイデア自体がどんどんブラッシュアップされていくことです。
同様のステップを経てアイデアはコンセプトになり、最終的には事業案にまですることがゴールとなります。
【図1:HYPEGOの画面】
【図2:HYPEGOトップ画面】
右上から無料トライアル版の登録が出来ます。
画面をクリックすればリンク先に飛びます。
2つ目の特徴はこのテーマやアイデアの管理・評価が非常に簡単だということです。
組織で行う以上、上からの管理・評価というのはすべての事業において必須ですが、新規事業というのは一度実行されれば売り上げなどで測れますが、実行するまでの期間はそれまでの指標が使えず、業務自体がトラックしづらいため難しいものになります。
このツールではどれだけ周囲を巻き込んでいるのか、素早く対応できているのかなどがテーマ、アイデアの進行度合いから非常に測りやすく、結果としてそこに携わる人間の管理・評価を行いやすくします。
「日本にもイノベーションマネジメントを!」
まだまだ日本ではこうしたツールを使って組織を強化していくというのは馴染みがなく、社内SNS的な利用しかなされていないということが殆どです。
実際に今イノベーションマネジメントの分野は世界で60社以上あるにも関わらず、日本市場に本格参入して成果をだしているところはありません。
日本だけでなく、アジア全体でも市場はまだできていないのが現実です。
しかし欧米では右肩上がりの市場であり、HYPEはダイムラー社を初め、Lufthansa Systems、NSNやDB(ドイツ鉄道)、Olympus、GE、Schottなど様々な分野の企業で利用されています。
今回HYPE社を訪れたのは、日本にイノベーションマネジメントツールを導入し、クライアントを世界で戦えるイノベーティブが根付いている組織にするために、そのノウハウと運用法についてみっちりしっかりとトレーニングを受けるためでした。
また他のHYPEのパートナー企業も参加しており、どうすればイノベーションを起こせるのか、どうすればイノベーションを企業文化とすることが出来るのかについても話し合ってきました。
彼らはルクセンブルクのコンサルティングファームと日系企業の英国支部でしたが、会話して気付いたことは、よくこうした文脈において「日本の企業は~」と言われがちですが、海外の企業も同じくイノベーションには苦しんでいるということです。
大事なのはどのように企業文化の中に取り込んでいくのか、というところで日本の多くの企業が失敗してしまったのはそれぞれの国のそれぞれの企業に向けて作られたツールを自国・自社の文化を理解せず右から左といった形で導入したことです。
そうした失敗を繰り返さないために、しっかりと組織文化を理解し、共有し、正しいツールを正しい方法で使うことで組織を強化していくことが重要です。
未来マップなどに加えて今回新たなツールと方法論を学び、イノベーションをますます促進していきます。